過ぎゆく彼女
「過ぎゆく彼女」は、身体の露出と内面的な眼差しの二面性を示す作品である。作品の重心はモデルの身体に置かれており、注意深く観察することで、さりげない細部が明らかになる。タイトルは、詩人マリオ・ベネデッティの同名の詩の第二行を示唆している。
作品解説
「過ぎゆく彼女」は、モデルであり作家の友人でもある人物が表現したいと望んだ自由を描くという発想から生まれた。最終的なポーズに至るまでに複数回のセッションが行われ、その結果として本作が成立している。
最終的に描かれた身体の配置は、一つの姿勢の中に曖昧さを内包している。モデルは裸身を外へと開きながらも、顔は横を向き、目を閉じ、腕を上げて自己の内側へと沈み込んでいる。まるで観る者に対して無関心であるかのようだ。身体の構成はやや左へ傾いており、右側に集まる視覚的な重さとの均衡を取っている。そのため、構図上は中心に置かれていないにもかかわらず、中心にあるかのような印象を与える。
作品の重心は身体そのものにあり、強調された腰や細いウエストがそれを支えている。意図的に細く描かれた右脚のディテールは、身体的な条件に起因する不均衡を、構成上および象徴的なレベルで示唆している。一方で足部は、視覚的調和を保つためにわずかに縮小されている。これは作品内部の構造に基づく純粋に造形的な判断である。
作品タイトルは、詩人マリオ・ベネデッティの詩「過ぎゆく彼女」と同名である。詩の第二行への言及として、そこに含まれる愛情と無関心の交錯を想起させる。
「通り過ぎる足取り
過ぎ去る顔
これ以上何を望むのか
君を想う
ほんの二、三分だけ君を想う
もっと知るために
時間がない」
作品情報
日付:2018年10月2日
サイズ:B4(25cm×36.5cm)
支持体:普通紙
技法:グラファイト
重量:7g
モデル:K. M.
.png)




