唯一の神
「唯一の神」は、マラドーナがサッカーにおける才能を披露し、ボールを思いのままに操る姿を描いた作品である。この場面はサッカー史上もっとも有名なトレーニングの一つであり、イタリアのナポリでのウォーミングアップ中、スパイクの紐をほどいたまま、空中でボールをコントロールし、背景では観客が一つの歌を自然と合唱し始める。
この象徴的なシーンは、単にマラドーナの才能を示すだけでなく、作品全体に込められた象徴性も同時に伝えている
作品解説
「唯一の神」は、マラドーナがサッカー史上もっとも有名なトレーニングを行っている場面、イタリア・ナポリでの一幕を描いた作品である。作品は、スパイクの紐をほどいたままウォーミングアップを行い、容易にボールを操ることで、その生来のフットボールの才能を示す彼の姿を捉えている。背景にはLive Is Lifeを歌うOpusの楽曲が流れ、スタジアムの観衆がそれを歌い始め、単なる練習を歴史的な瞬間へと変えていく。
作品は、彼が左足でボールを浮かせるリフティングの瞬間を描写している。この特定の場面こそが、作品に複数の象徴性を内包させている。彼は空中にあるボールの軌道を見つめているが、それは同時に、その才能の起源を示唆している。身体はボールを受け取る準備を整え、支配的で不朽の左足を持ち上げる。また、額と左手には通常以上の光が当たっており、額は神的な触れを象徴し、左手は「神の手」として知られたものへの暗示となっている。
構図は中央に据えられ、地面の高さから描かれている。鑑賞者がピッチ上で彼と同じ空間に立ち、低い視点から彼の視線の先を追っているかのような感覚を与える。マラドーナの姿はグラファイトによる灰色調を基調に、寒色系の水彩とガッシュで構成され、背景には空の青と芝の緑が混ざり合う。
作品のタイトルは、マラドーナ自身の言葉に由来する。彼は「神」と呼ばれながらも、インタビューで繰り返し、神はただ一人であり、その存在が自身に才能を与えたのだと語っていた。彼はただ、天から与えられたその賜物に触れたに過ぎない。この思想は申命記 6章4節にも通じる。しかし、多くの人々は彼を神格化し、その名のもとに教会すら築いた。本作品は、人間を神とするその発想に対する明確な否定の表明である。
作品情報
日付:2022年9月13日
サイズ:F6(32cm×40.7cm)
支持体:コットン紙(マルマン社製、日本製)
技法:水彩/グラファイト/ガッシュ
重量:242g
モデル:マラドーナ(1989年、イタリア・ナポリでのトレーニング風景)
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